2015年6月9日火曜日

Dignity Village訪問レポート

先日、副代表のスコット・ライマン(Scott Layman)さんにアポを取り「ディグニティ・ヴィレッジ」というホームレスの自治コミュニティを訪ねて参りました。

アイコン的なCow
飛行場の側なのですが、思ったより早く着いてしまい、セキュリティで待つことしばし。

セキュリティの建物
セキュリティにいた男性は、わざわざ家までスコットさんを呼びに行ってくれたらしく、明らかに寝起きのスコットさんがやってきました。そして、嫌な顔もせず、かなり前倒しで案内してくれました。

呼びに行ってくれたおじさん。
彼もまたちょっと寝起きっぽいですが・・・ここに来て1年ほどだとか。
副代表のスコットさん。妻のリサさんと一緒にここに来て5年。
このコミュニティができたのは、2001年のこと。ポートランド市内のホームレスとアクティビストが、市との交渉の末に、この土地を無償で借りる権利を得て、ホームレスたちが移り住みました。これまで3年、もしくは2年ごとに契約を更新し、14年間この地で運営されています。次の契約更新は、今年の11月だそうです。

現在60人の男女が住んでいます。未成年は、誰の子供か証明できないため、不可ですが、夫婦で暮らすこととペットを飼うことは認められているそうです。
グリーンハウスへ案内してくれそうなネコちゃん
「CAT PLAY」エリアもありました。ネコ好きが多い模様
ネコ柄の家も。
あ、もちろん犬を飼っている人も多いようです。
このビレッジの規則は、下記の5つ。
  1. 自分もしくは他人への暴力の禁止
  2. 盗まない
  3. ヴィレッジ内及びその1ブロック内での非合法ドラッグ、アルコール、マリファナ吸引の禁止
  4. ヴィレッジの平和を乱すような破壊的行動の禁止
  5. ヴィレッジ維持への貢献とコミュニティの生産的なメンバーになること
特にこの5が大事らしく、住人には週に10時間の労働が義務付けられています。新しい家を立てたり、掃除をしたり、セキュリティに立ったりして、みんなが貢献します。

また、ここの経営は、クレイグリストに載っている無料の材木を引き取り、薪を作って販売したり、廃棄品から部品を取り出して販売したりすることで賄われているので、その作業も労働にカウントされます。

木材関連の作業場
大きな薪以外にも、形を揃えた木材も販売しています
このコミュニティがシェルターなどと違うのは、住人がヴィレッジの運営方法を決めること。住人は、みな1票を持っていて、年に一度、9名の役員を選出します。役員は、会議を開いて、いろいろな方針を決めるそうです。
会議なども行われる集会場。
ヴィレッジ内で唯一、電気があり、暖も取れるし、TVも見れる場所。
家は、200sqf (約18.6平方メートル)以内のスモールハウスが 43軒あります。個人の住居には、ガス、電気、水道はありません。来たばかりの人は、シェアハウスから始め、空きが出ると、合議で誰がどこへ移るか決めるんだそうです。新しい家が完成した際は、抽選で決めたそうです。こちら、スコットさん夫妻が当選したそうで、とても嬉しそうでした。
相部屋のスモールハウス。新入りはこちらからスタート。
家には、それぞれニックネームがあるそうです。これは、「洞窟壁画」とかでしょうかね。
これは・・・ニューエイジ?スピリチュアル?
赤い家の方は、ガーデニングに凝っているようです。
家の中での料理は不可です。バーベキューとか、夏は普通にいいですが。
役員など、ヴィレッジ運営に関わる住人以外は、基本、2年間を滞在目処としているそうです。それ以上の滞在者は、いくらかの家賃を払うと滞在可能のようです。理想はもちろん外で仕事を見つけて、自立することですが、スコットさん曰く「これまでの悪癖を抜けて、心身ともに回復し、仕事を見つけるには、2年でも短いくらい」だそうです。
スコットさんら夫婦は、職を失い、路上生活を余儀なくされたものの体調を崩し、空き家に無断で忍び込み生活を始めたところ、警察につかまり、刑務所でこの場所の存在を聞いたんだとか。
普通の生活をしていたのに、とあるきっかけからホームレスになってしまったら、体力気力共消耗して、なかなか思うように社会復帰できないですよね。路上からここに来た人は、何と言っても「ゆっくり体を休めることができる安心感」を年単位で獲得できることに感謝しているようです。そして、見下したり、指示したりしない人々とゆるくつながっていることも、個々の尊厳を取り戻すために、役立っているんだと思います。

それに、アートが多いことも多分、貢献しているはずです。ブラジルのファヴェーラにアートを施すモニカ・ナドールさんをちょっと思い出しました。
ヴィレッジ中央のアスファルトには、平和、平穏、幸福などを意味するマンダラが描かれています
ギターを抱え、嬉しそうな男性。
「最近ギターを習い始めたんだけど、利き手の逆なんで、難しいんだよ」と言いつつ、いい顔です。
もっと気合を入れて、職を探せよ!なんて意見もあるかもしれませんが、こういう時間が必要なこともあるんじゃないでしょうか。社会の優しさは、やっぱりあったほうがいいと思うのですよ。

Dignity Village
9401 NE Sunderland Ave, Portland, OR 97211

0 件のコメント:

コメントを投稿