2015年12月7日月曜日

ポートランドを代表する建築事務所「ZGF」見学ツアー

ポートランドの最も有名な建築事務所といえば・・・サステナブルな建物づくりでも知られるZGF(Zimmer Gunsul Frasca Architects)。実は、9月末にウエストエンド地区の本社ビルの見学に行ってまいりました。記事の依頼が、未だ保留になってしまっているので、忘備録も兼ねて、こちらにレポートします!
ZGF本社の入り口

案内してくださったのは、なんと日本人の建築家、渡辺義之さん。渡辺さんは、見学させてもらったZGFの本社ビル「Twelve West(トゥエルブ・ウェスト)」の設計を担当された方です。

ZGF 渡辺さん
こちらが、受付です。

ZGF受付
ZGF本社の入る23階建て、総面積5万平米以上の大きなビルは、ミックスユースの建物。オフィスのほかに、203室の賃貸住居やレストラン、ヘアサロンなどが入ります。

1階には、ショップやレストランが入ります。ブルースタードーナツも同建物内。

・・・いや、実は最初、気がつかずに、賃貸住居の方の受付に行ってしまいました。
いや、マンションの受付だって、すぐ分からない感じなんですって・・・!

マンション「Indigo」の受付
まあこちら、ロケーション抜群の高級マンションでして・・・渡辺さんに、わがままを言って、マンションの屋上ガーデン&パーティールームやプライベート・ムービールームなんかも見せてもらいましたが、いやあ、いい感じでした。

誰かここに住んで、夏に屋上バーベキュー呼んでくれないかなあ。いや、晴れてれば、ファイヤーピットもあるし、夏じゃなくてもいい!

発電用風車も並ぶ屋上。あいにくの雨でしたが、眺望抜群
いや、マンションの話、長くなりましたが・・・、このビルの特徴の1つが、ミックスユースなのですよ。
職住近接を実現し、ポートランドの街づくりの要にもなっているこの考え方。1階にレストランやカフェ、バー、ショップなど、その上階にホテルや学校、マンション、オフィスなどの入る建物が並ぶと、昼も夜も、また平日も休日も人の出入りができます。それにより、リテールの売り上げが伸び、エリアも活性化、また治安もよくなるんだとか。

トゥエルブ・ウエストのあるウエストエンド地区は、現在、流行発信地的なエリアですが、このビルが完成した2009年頃はまだ、ダイブバーなんかが集まるエリアだったようです。お隣のパール地区も同様、あまり治安のよろしくない倉庫街。ところが、このミックスユースを駆使した街づくりで、現在は、住みたい!とか出店したい!(でも高くて無理!)とかいうホットなエリアとなっています。

エースホテルなどの入る建物
ちなみに、人気のエースホテルも、1階にストンプタウン・コーヒークライド・コモンレストラン、クリーナーズイベントスペースなどの入ったミックスユースの建物です。

えーっと、ZGFオフィスに戻ります。

受付側のロビー
この建物の2階から5階がオフィスで、約260名が働いているそうです。地下は駐車場、駐輪場になっていて、自転車通勤者の為にシャワールームも完備されています。ライトレイル(電車)やストリートカー、バスの駅もほど近く、公共交通機関を使って出勤できます。ロケーションからして、サステナブル。

どこを見てもおしゃれなのですが・・・

いちいち絵になるオフィス

色分けポストイットを使ったプロジェクトの
進行共有ボードまでもが格好良く見える・・・。
それだけではない工夫がいっぱいされています。

例えば、階段の位置。
ど真ん中に階段を置いて、みんなから見える場所を歩いて移動させることで、他のフロアの社員とも自然なコミュニケーションが図れるフローを作っているそうです。
オフィスの真ん中の階段
同様に、キッチンエリアも、隅っこに隠れた日本の給湯室とは違い、堂々と同フロア内に配置されています。ここで、社員同士のコミュニケーションがまた図れるわけです。

給湯エリア
噂話に不向きな、明るくオープンな給湯エリア
もちろん、LEED(Leadership in Energy & Environmental Design; アメリカのエコ建築の認証制度)プラチナ認証を取得しているだけあって、サステナビリティに関する工夫が、本当に驚くほどたくさん盛り込まれています。

リフレッシュできる緑の多い屋外エリア
屋上の話の際に写真を挙げた風力発電は、3機のエレベーターの動力を賄っているそうです。また、ソーラーパネルは、給湯器のお湯を温めるのに役立っているそうです。さらに、屋上ガーデンで集めた雨水は、トイレを流すのに使われています。

他にも窓ガラスは、光は通すけど熱は通しにくいので、照明や冷房の節約ができるとか、自然光で明るいと自動で電気が消える仕組みとか・・・。あと、いいなあ!と思ったのは、個別で風量を調整できる、床の冷風口。クーラーの真下は、めちゃくちゃ寒い!なんてことはないわけです。今は、もうどこもそんなにガンガンクーラー使ってないかもしれませんが・・・。

床のあちこちにある送風口。それぞれ調整可能。

というわけで、エコなビルで環境に良いのはもちろん、住む人や働く人など、そこに集う人が心地良く、効率良く過ごせるように、いろいろと考えられた建物なのです。
おしゃれで、先進的。日本から多くの方が視察に訪れると聞きましたが、いやはや、納得です。











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