2016年3月1日火曜日

PDXアーバン・ワイナリー・ツアー潜入レポート

ドライバーのイアンさん
先日、「ポートランド・ショート・バス(Portland Short Bus)」主催の「アーバン・ワイン・ツアー(PDX Urban Wine Tours)」を取材させてもらいました。13人乗りの黄色いスクールバスに乗って、市内のワイナリーを回ってワインを飲み続けるというこのツアー。いっやあ、楽しかったです。

この日、ツアーに参加していたのは、カナダのカルガリーからクリスティン嬢の誕生日を祝うために週末ポートランドに来たという仲良し夫婦2組。子供を家族に預けて、「今週末は、心置きなく飲むのよ!」という気持ちのいいみなさんで、当日も朝から集合場所のイースト・バーン・レストランで「ボトムレス*」ミモザ(*「底なし」=飲み放題です)を飲んできたと上機嫌です。

カナダからの参加者。左端がバースデイガール

バス車内の天井には、英単語やアルファベットのマグネットがいっぱい。そして、それを使った酔っ払いらしい格言や詩がたくさん残されています。それらにいちいち大受けしながら、クリス 嬢のスマホをつないで流すカナディアンポップスをBGMにワイナリーを巡りました。

黒板には行き先が記されています
1軒目は、「ヒップ・チックス・ド・ワイン(Hip Chicks Do Wine)」。こちら、1999年にLaurieさんとReneeさんカップルが始めたポートランド初のアーバンワイナリーです。

SEにあるヒップ・チックワイナリー
オーナーのレネさんとラウリーさん(左から)
ポートランドから、車で4時間以内の場所で採れるぶどうを使って、1年に5000ケースほどのワインを生産するそうです。ワインのボトル詰めから、コルクで栓をしてラベルを貼るまで全て手作業だとか。

右端が旗艦商品の「おへそ」ワイン
ラウリーさんが言うには、「ナパで小さなワイナリーといって紹介されたところは、年間25000ケースくらい生産すると言うから、うちは本当に小さい」とのこと。小規模なワイナリーの強みは、ワインクラブを始め、日々ワインを飲む人と接しているので、みんなの意見を反映したワインをいろいろ作れることだそうです。

市内で全てのワインを生産
ラウリーさん自身のお気に入りは、ロゼとシラー。ロゼは、今年は60%ジンファンデル、40%ピノ・グリだそうで、サングリアを作ったら最高!とのこと。ブログの方でもワインを使ったレシピを紹介していて、どれも美味しそうです。

ラベルもかわいいロゼワイン
ラベルは、オーナーたちの大好きなイラストレーターが
描いてくれたんだとか

週末は、食べ物とのペアリングイベントも実施しているそうですが、彼女たちのモットーは"Have fun with wine!"。うんちくを語るより、自分が美味しく感じるものを、飲みたいように飲めばいい、とのこと。

こちらでは、一軒目ということもあり、カナダ人グループが、「これ!」というテンプラニーリョだけ飲んでみました。今年は、南オレゴンの2つのヴィンヤードのテンプラニーリョを半々混ぜたそうですが、美味しかったです。



さて、2軒目は、「アーバンクラッシュ(Urban Crush)」という2015年7月にオープンした新しいワイナリーです。

テイスティングができるワインのラインナップ
こちらでは、「エンジェル・ヴァイン(Angel Vine)」と「ダヌ・ワインズ(D'Anu Wines)」と「ウィルフル・ワインズ(Willful Wines)」の 3ブランドがワインを作っていて、テイスティングもできます。

アテンドしてくれたのは、エンジェル・ヴァインのエドさんです。テイスティングルームに座ってしばらくすると・・・ワインクラブのメンバーが現れました。「今日は、2007年に作ったワインを飲んでみようと思って、呼んでいるんだよ。君たちも、一緒に試すってことでいい?」とのオファーが!
もちろん大喜びで飛びつく飲兵衛グループ。ぞろぞろと上の階へ移動しました。

ワイン樽を見下ろせる上階

ワインクラブの面々。
散歩がてらワインを飲むという土曜の昼間の過ごし方っていいっすね。

もう少し先まで飲むのは控えようと最初は思っていましたが、あなた、「初めて試す2007年のジンファンデル」とか「プリミティボ」とか言われて、私に断れるわけはありません・・・。

2007年のジンファンデルから始まって、2008年のピノ・ノアール、ペティ・シラーまで・・・どれも美味しい。「いつも利益を考えろって娘に怒られるんだよ〜」というそばから、次々ボトルを開けて、我々にまで気前よく注いで回るエドさん。ショートバスのメンバーはご満悦でございます。

しかも!ターニャさんが、目ざとく見つけたのが、これ。


エドさんの奥さん(写真の女性)がアメリカの長寿テレビ番組「ザ・プライス・イズ・ライト」で勝ち取った デスク&椅子。

決めポーズで記念撮影
記念撮影もして、絶好調です。

ところで、こちらの「エンジェル・ヴァイン」。以前はエドさんが、妻と2人の娘を「3人の天使たち(Three Angels)」と呼んでいたことに因み「スリー・エンジェルズ」という名前を使っていました。
ところが、サンフランシスコのワインコンテストで受賞して、名前が売れると、ナパの「トゥ・エンジェルズ」ワイナリーから、ブランドネームの侵害だ!とクレームが入ったんだとか。で、仕方がなく「エンジェル・ヴァイン」に変更したそうです。

2007年のジンファンデル。まだ「スリー・エンジェル」ラベル

ラベルが変わっても、味は変わらない!と頑張る「エンジェル・ヴァイン」。ワインクラブの面々は「Hidden Jem (まだそれほど知られていない、いいもの)」と口を揃えていました。いや、確かに美味しくって、私も2007年のプリミティボ、購入してしまいました。
エドさんと看板犬のオリバーくん
お嬢さんの描いた絵
オリバーくん、犬用のお菓子のモデルもやっているそうです
さて、すっかり飲みムードになって向かった3軒目は、「ジャン・マルク・ワイン・セラーズ」のテイスティングルーム兼バー「Garagiste」。


ジャン・マルクさんは、年間2000ケース以下という少量のワインを自宅のガラージで作っているといるそうです。これまでそのガラージの前で味利き会なんかも開催していたそうですが、先月とうとうこちらのテイスティングルーム兼ワインバーを開店しました。

おしゃれな店内
というのも、彼と奥様のバーバラさんは、共にサンフランシスコで修行したシェフ。美味しい食事とワインを一緒に提供しよう!というお客さんにとって嬉しい試みなのです。

シェフでもあるオーナー夫妻
実際、この日も「前から何ができるか気になってたの〜」と、通りかかったお客さんが、嬉しそうにカウンターに着席していました。作り手と話しながら飲めるお店、いいですよね。

テイスティングのお供に厳選おつまみ
こちらでは、シャルドネから、ロゼとか通って、ピノノワールあたりのテイスティングでいいかな?と聞かれて、まあ、それでも良かったのですが、ターニャ嬢が「私たちのグループは、重い赤が好きなの!」と宣言し、メルロー、シラー、カベルネ、ジンファンデルという赤づくしをいただきました。

名前といい雄鶏といい大変フランスっぽいワイナリーです
この頃には、私もすっかり真ん中に陣取って、カナダの女子の人生を聞きつつ、飲ませていただいております。ここは食事もできるし、ワインも美味しいし、近くにあったら通いそうです。


4軒目!
さて、最後、4軒目は、「セブン・ブリッジーズ・ワイナリー(Seven Bridges Winery)」。こちらは、2008年にフレモント橋の麓にオープンしたのですが、「屋上から7本の橋が見えたから」という理由でこの名前だそうです。ラベルも屋上から見える7本の橋+数本をモチーフにしています。

テイスティングカウンター
こちらのワイナリーは、ワシントン州南部のぶどうのみを使い、オレゴンでは珍しくピノノワールを生産していません。また、白ワインも作らないのです。
テイスティングしたのは、 メルローとマルベックのブレンド「パラドックス」、カベルネとメルローのブレンド「レゾリューション」、いろいろブレンドした「プリマ・ナタ」、それからカベルネの4種類。毎年、混ぜるぶどうの割合が変化し、年によっては一方をブレンドしないこともあったりするそうです。

ワイン作りの工程の見学も
こちらは唯一オーナーではなく、ワイン作りを学んでいるロブ・ハリソンさんがアテンドしてくれました。

どれも個性的なワイナリーで、カナダ人グループもフレンドリーで、とても楽しいツアーでした。オーナーと直に話すことで、ブランドに愛着もわきます。また、どのワイナリーも他のワイナリーを仲間として尊重し、良いところを教えてくれるあたりも、素敵でした。これを機に、アーバンワイナリーをいろいろ訪ねてみたいと思います。

ツアー、お酒が好きなあなたに大変オススメです!
参加希望の方は、ショートバスのサイトで日程をチェックし、チケットを購入してくださいませ。

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